2007年01月05日

NPOが自立する日

NPOが自立する日―行政の下請け化に未来はないNPOが自立する日―行政の下請け化に未来はない
田中 弥生

日本評論社 2006-10
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行政の下請け化に未来はない。

副題が示すように、日本のNPOはある種の危機に瀕していると思います。
資金不足、人材不足、専門性やスキル不足…。

理念は立派ですが、それを実現するための資源が圧倒的に不足する日本のNPO。

果たして「NPOが自立する日」は来るでしょうか?

いま、日本のNPOは二極化しています。

一つは、ボランタリズムに徹して、自分達のできることをできる範囲で無理なくやろうとする一群。主婦やリタイア世代が、生きがい重視で始める活動ですね。

もう一つは、有給職員を抱えながら、事業としてNPOを運営しようとする一群。この場合、雇用が発生しますから、毎年安定した収入がなければ組織として継続できません。

前者の場合は、社会に与えるインパクトは極めて限定的ですが、当事者達の満足度があれば、特段問題はありません。

しかし後者の場合、組織を継続させるための財源確保に頭を悩ませることになります。

一般にNPOの収入源は、1)会費・寄付、2)補助金・助成金、3)自主事業による事業収入、4)行政等からの委託事業による収入に大別されます。このうち、まとまった収入になり、しかも行政から受託するという「お墨付き」効果をねらえるということで、近年、ある程度力のあるNPOはこぞって4)の行政からの委託事業に頼る構造が出来上がりつつあります。

NPOのミッションが「新しい公共の担い手」であることを考えれば、行政からの委託事業を受注するのは一定の根拠があると言えます。しかし、それが行政への「依存」あるいは、行政とNPOとの「なれあい」になったとしたら…。公共事業をめぐる「癒着」の構造とは言い過ぎでしょうか。

NPOが「業界化」するのを恐れます。いえ、すでにその兆しが見え隠れしています。

著者はこの「NPOの下請け化構造」を鋭く指摘しますが、残念ながらそれに対する有効な改善策を提示するには至っていません。著者の言うように、行政への依存度を低め、民からの資金調達を強化するのが正論ではありますが、「寄付の文化が育っていない」と言われる日本では、寄付や会費収入を増やすのは至難の業です。

NPOは今、自らの組織延命のために、内向きの思考にはまりつつあります。そのために、ますます顧客や一般市民(企業市民を含む)との関係づくりが後回しになっていることが、さらなる悪循環を構造化させているように思われます。

事業型を目指すNPOは、さらなる専門性やマネジメント力の向上が求められるのは言うまでもありません。特に、事業成果を生み出すための戦略性と事業遂行力を高めることが不可欠です。

同時に、著者が指摘するようなインターミディアリー(中間支援団体)が、個別NPOと市民との関係をつくり、NPO評価とファンドレージング機能を代替することができないでしょうか。(しかし現状では、中間支援団体自体が、自らの組織の存続に汲々としているのが実態です。)

NPOに大いに期待をしつつも、その構造的な問題をブレイクスルーするには、まだまだ時間がかかりそうな気がします。
posted by Toshi at 05:36| Comment(0) | Workstyle for Sustainability | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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