2006年12月13日

弓と禅ー「一如」の世界。

弓と禅 改版弓と禅 改版
オイゲン・ヘリゲル 稲富 栄次郎 上田 武

福村出版 1981-11
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ふと気になって、書棚の一冊を手に取りました。
オイゲン・ヘリゲル著、『弓と禅』。
ドイツ人哲学者による、弓道修行を通じた日本精神の真髄、“禅”の解説書。

弓道修行を始めた当初、著者らは弓を引くことなく、ただ「礼法」を繰り返すことだけを言い渡されます。実に数年にわたって。

ようやく矢を射ることを許されますが、つい「的に当てよう」という気が勝って、うまく射ることができません。

ついには、師匠に対して「何か秘訣を隠しているのではないか」と疑念を抱いてしまいます。

師匠はその夜、沈黙のうちに模範演技を見せます。
灯りをつけず、真っ暗闇の中の射的。

一本目の矢が黒点の中央に当たり、二本目の矢が、一本目の矢筈を裂き割って黒点に命中。

著者はただ言葉を失うばかり。

師匠曰く、「…この射の功は“私”に帰せられてはならないことを知っています。“それ”が射たのです。そしてあてたのです。…」

「私」を去って、“それ”そのものになる。

おそらく、その瞬間、射手、弓、矢、的が物理的な距離を超えて、一体となっていたのでしょう。

極東の精神文化の玄妙さ、極まれりといったところです。

さて、これを私たちの日々の営みに置き換えてみましょう。

私たちは人生を生きる上で、様々な問題・課題を抱えています。
そしてそれを「解決」しようとやっきになっているのです。

あたかも、「的に当てよう」とやっきになっている射手のように。

「問題」が「私」を離れて、「向こう側」にあると思っている限り、的に当てること(問題を解決すること)は非常に困難です。

よし「当てる」ことができたとしても、それはたまたまそうなっただけのことであり、何の本質的な真実性もそこには見い出せません。

「問題」を遠くに立てるのではなく、「私」自身がその「答え」になりきること。

「答えを生きる」こと以外に、「問題」を本質的に雲散霧消させることはできません。

「問い(問題)」と「答え(解決)」が“一如”になったその瞬間こそ、問題は消滅しています。

それが本質的な「解決」です。

自然農の川口由一さんは、このことを「答えを生きる」と表現しています。

そして、インド独立運動の指導者であるマハトマ・ガンジーの言葉。

「世界に変化を望むのであれば、自らがその変化になれ」

世界はこうして根本から改善していくのです。

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posted by Toshi at 23:47| Comment(0) | TrackBack(0) | Lifestyle for Sustainability | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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